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唖然、愕然系

【後味悪い話】中途半端な歳で上京してきた知り合い。ある日その理由を聞いたら「絶対に引くなよ」と前置きしてから驚くべき内容を語ってくれた・・・

投稿日:2024年3月30日 更新日:

知り合いに中途半端な歳で上京してきたフリーターのMがいるんだが、数人で家飲みしていた時に、
上京の理由をMに結構しつこくきいた奴がいた。

Mは最初嫌がっていたが、酔っていたからか「絶対引くなよ」と前置きして話し出した。

Mは普通に地元の大学を出て、地元の企業に就職した。ずっと実家暮らしだったそうだ。

ある夕方、たまたま早上がりをしたMが家路を歩いていたら、向かいからやってくる人影が突然Mに駆け寄ってきた。

人影―――女は

「Mさん、久しぶり!元気だった?」

とさも親しげに言うが、Mにはその女に憶えがない。だからといって「あんた誰?」ときくわけにもいかず、

「あ、久しぶりー、元気だったよ、そっちは?」

と無難な答えを返した。

すると女はニコニコしながらカバンから紺色の小さな手帳を取り出して、表紙をMに見せつけた。

金文字で書いてあったのは『障害者手帳』の5文字。

だが、女に何か障害があるようには見えない。Mが「え、どうしたのそれ…」と言い終わると同時に、女はその手帳を開いて見せた。

そこにあったのは女の顔写真、障害等級2級の記載、そして女の名前と“精神障害者”の文字。その名前を見てMはようやく気づいた。女はMが中学の3年間、いじめ続けた同級生のAだった。

絶句したMと向かい合ったAは、ニコニコしながら

「Mさん、私の事覚えてなかったでしょう。寂しいなぁ、私はこの10年、1日だってMさんのこと忘れたことなかったのに…」

と言った。そして、

「でも、良いでしょう。今はこの手帳が私を守ってくれる。人一人殺したとしても、手帳持ちだってわかったらきっと報道規制がかかると思うの。

事情がわかれば情状酌量の余地もあるだろうし…でも、今日は無理ね。刃物もヒモも持ち合わせがないの。

Mさん、私よりずっと大きいから、素手じゃ返り討ちにされて保護室行きに決まっているわ。またの機会にね」

と言って、Aは手をひらひら振りながら去って行った。去って行くAの背中を見ながら、Mは腰を抜かしていた。

Mは言った。

「顔は笑っていたけど、目は怖いくらい真剣だった。あの時Aがナイフでも持ち合わせていたら、本当に殺されていた」

その後、MはいつAに出くわすかと真剣におびえるようになった。

Aが住んでいるのは同じ中学校の校区内。思い立てば包丁を持ってMの自宅を訪問することだって出来る。Mはすっかりノイローゼ状態になってしまい、とにかくここから離れなければと思って、

「誰がたずねてきても、絶対に自分の居場所は明かさないでくれ」

という言葉を置いて、わずかな荷物とともに夜逃げ同然に上京してきたのだという。

精神障害2級の人間が一体どれだけヤバいのかは知らないが、Aは間違いなく自身の人生をMに台無しにされたと思って、今もMへの報復のすべを考えているのだろう。

MはAへの行為の結果が自分に返ってくることを恐れて、平穏な生活という名のレールから脱落してしまった。

因果応報というか何というか…あまり聞きたくない上に忘れがたい話だった。

 

「愛のコメント」

恐い話ですね。

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