World Scope

日々動いている世の中の出来事

唖然、愕然系

タクシー『乗って』俺「金が…」『初乗り料金でいいから』「はぁ…」→結果

投稿日:2023年12月2日 更新日:

大学生の頃貧乏旅行した時の話

半日電車に乗っていて深夜てっぺん近くに関西本線の某駅で降りた。
何もない田舎なんだけど翌朝行きたい史跡の最寄りだから
ここの近くのネカフェに泊まろうと思って調べたら
ネカフェあるにはあるんだけど、駅からちょっと遠いんだ。

仕方ないから重いショルダーバッグ担いで線路沿いの暗い道をよたよた歩いてた。
街灯がチラホラ立ってたんで真っ暗ではなかったんだが
人通りも開いてる店もなくてちょっと怖かった。
15分くらい歩いていると先の方が林みたいになっていて木の影がたくさん見えた。
うわ嫌だなあと思ったが今更引き返せないし腹くくってそのま歩き続けた。

だんだん林が近付いてくる。街灯もこの辺りには立ってなくて真っ暗。
だからそろそろ携帯のライトを付けなきゃなと思い始めた頃だった。
林の向こうからヘッドライトが見えた。
近づいてきてタクシーだと判った。空車みたいだ。
手を上げようかと思ったが金がギリギリしかなくて
ネカフェまでいくらかかるか不安だったから迷った。

ああ通り過ぎちゃうと思ったら、すれ違う時に不自然にスピードを落としたんだよ。
あれっと思って運転席を見ると髭面のおっさんがこっちを見て何か合図してるの。
車の進行方向(つまり俺が来た方)を指差してそのあと左の方を指差した。

立ち止まって通り過ぎた車のテールランプを眺めながら首を傾げていると、
車が100メートルほど先で不意に左折した。ウィンカーを出さずにいきなり曲がった。

俺はさっきの合図と照らし合わせて、
ついて来いということかなと思ったが、正直怪しくて躊躇った。
構わず先を急ごうと前を見たが暗い林を見るとさっきよりも
不気味に思えてよし、と引き返したんだ。

角を曲がるとなんと200メートルも先に車が停まってた。
ますます怪しいのだがここまできたらとそこまでよたよた歩いていった。
バッグのベルトが肩に食い込んで痛かった。

車の側まで行くと運転席の窓が下りておっさんが顔を出した。

「どこに行こうとしてた?」

いきなりそう訊いてきた。

「いやあの、××っていうネットカフェに行こうと思ってたんですけど」

「乗って。行くから」

「え、でも……」

「初乗りでいいから。乗って乗って」

「はあ」

俺は怪しいと思いながらも成り行きに流されふらふらと乗ってしまった。

後部座席に乗り込んでバッグをドスンと下ろしたら運転手がすぐに言った。

「あそこ曲がる前に伏せて」

「は?」

「さっきの道に戻る前に伏せて。座席の前にしゃがみ込んで。荷物も」

「ええ?なんでですか?」

「後で説明するから。俺がいいと言うまで動かないで」

訳が分からないまま俺は言う通り足元にしゃがみ込んだ。バッグも下に落とした。

運転手はちらっとこっちを見て

「そのままでね」

と言った。 窓の外は空しか見えない。やがて右に曲がったようだった。直進する。

ほどなく林に入ったと見え窓に木の茂みが流れていった。
林を抜けるのに結構長くて30秒くらいかかった。運転手はあれきり無言のまま。
いつまでこうしてなきゃならないんだろうと思いながらも喋りかけ辛くてしゃがんでいた。

ふっと嫌な想像が頭を掠めた。このままさらっていく気じゃないだろうな。
こっそり外を見ようか。そろそろっと頭を上げ始めた時、運転手が言った。

「着いたよ」

外を見るとそこは確かにネカフェの前だった。

「ありがとうございます」

メーターは回ってなかった。運転手は初乗り料金を告げ俺は払った。

このまま降りようかと思ったがやっぱり気になってなぜしゃがませたのか、
そもそも最初の合図は何だったのかを訊いた。

「いたんだよ、あそこに」

「え、どこですか?」

「林を通っただろ?あそこな、時々おかしな奴らが待ち伏せしてるんだよ」

「待ち伏せ……」

「通りかかった奴を殴ってボコボコにして身ぐるみはいでレ*プして、
もう何人も被害に遭ってる。男も女も」

「ええ?!何ですか、それ。警察は?」

「捜査してるはずだが、一向に捕まらない。暗くて目撃者もいないせいか、
他に何かあるのか。何にせよ地元の人間は夜は決して徒歩や自転車で通ったりしない」

「とにかくそれで合図を?」

「もう林まで近かったから、あからさまに停まったらバレる。
獲物を奪ったと追っかけてこられたら面倒だからな」

「しゃがんだのも僕を乗せてることを隠すためだったんですね」

「ああ。じゃもう帰るから」

「あっ、最後に一つだけ。なぜ今夜いると判ったんですか?」

「血がね。ライトで見えたんだ。まだ乾いてなかった」

 

「愛のコメント」

恐かったですね。

-唖然、愕然系
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

酔った同僚『バツイチって言ってるけど、実は妻がいる』俺「えっ扶養とかどうしてんの?」とんだゲス野郎だった・・・

とある企画で一緒になった同僚と 打ち上げを兼ねて二人で初めて飲みに行った時、 「俺、会社にはバツイチって言ってるけど実は妻がいるんだ」 とベロベロに寄ったそいつに打ちあけ話をされた。 扶養の問題等があ …

トラックに轢かれそうになってた女の子を助けたら、その子の母親が「なんで助けたんだ!」と激怒!

自分が修羅場だと思うのは中学生の時。 夕方、塾の帰り道で金髪のケバい母親らしき女と大人しそうな女の子が、信号近くにも関わらず信号がない所で道を渡ろうとしてて それを危ないと思いながら見ていたらそれなり …

俺「離婚の話しようか」妻「そうね」(バコン!)俺、妻「!?」→外がとんでもないことに…

<PR>画期的なWIN5の的中法が出た!   数年前の話 会社の業績が下がり給料もカット 同時に嫁との仲も悪くなり、離婚の話が具体的になっていた 住居は分譲マンションで14階建て …

【衝撃】私「バイク買い取りお願いします」業者「廃棄処分です」→旦那に行かせたら査定結果が跳ね上がり...

以前旦那のバイクを売るのに代わりに見積もりに行った。 そしたら「これは5千円頂いて廃棄処分ですね」と言われた。 それを旦那に伝えどうする?と言うと「俺が休みの日に行くから保留に しといて」と言われた。 …

彼母「財産目当てなんでしょう!?」友人「(頭きた…)本当の財産目当てっていうのは、こういうことよ!」→ 彼との婚約を破棄し、とんでもない行動にでた・・・

結婚を新郎母に 「財産目当てでしょう!」 と反対されまくって、新郎もかばってくれなかったから(新郎父は空気)、 腹を立てて新郎と婚約破棄して新郎祖父と結婚した友人ならいる。 そしてその結婚式は、新郎に …

ブログ村PVランキング

読者登録

World Scope ~日々動いている世の中の出来事 ~ - にほんブログ村

不定期ですが友達限定記事をお送りします。

友だち追加

error: Content is protected !!