結婚してから、両親に俺の伯父さんのことがあるから、すぐに子供を作らないようにと言われた。
そのうち結婚を考え直すようにと言われるようになった。
自分も障害児が産まれたら育てる自信がなかったから、俺に気持ちを打ち明けた。
それで考えた結果、両親も自分も俺も安心して子供を作る方法は、自分が俺以外で健常者の子供を妊娠するという
結論になった。
その方法は俺が拒否したはずだと伝えると、
「わかってるだから離婚した。結婚してる時にそんなことしたら不倫になるし、離婚した後なら自由でしょ。
あなたも私の過去の恋愛については何も言ってこなかったし、この妊娠も過去の恋愛のものだから。
それにあなたは施設から赤ちゃんをもらってきて育ててもいいって言ってたじゃない、血がまったく繋がっていない
子供でもいいんだったら、私の血が繋がってるならもっと愛情をもって育てることができるでしょう。」って
絶句してしまった。
さらに元嫁は「本当は妊娠してすぐに、あなたとよりを戻して支えてほしかった。両親にも2人で説明して納得して
もらいたかったけど、あなたは黙っていなくなるし、なかなか見つからなくて、両親にもばれるし、お腹はどんどん
大きくなるわでこっちは修羅場だったんだよ。でも産まれる前に連絡付いてよかった。もうすぐ産まれるから出産には
間に合わないかな?年末年始はこっちに帰れる?そしたら三世代でお正月を迎えられるね。」
めちゃくちゃうれしそうに話すんだ。電話だけど表情が目に浮かんで、今の俺の状況を伝えるのが苦しくなった。
でも俺は離婚後、再婚して子供もいることを伝えた。電話の向こうで元嫁が「嘘でしょ?冗談でしょ?私がしたこと
怒っての?違うよね?」だんだん泣き声になって嗚咽を漏らしながら何度も「嘘でしょう?」と言ってくる
元嫁「もうすぐ産まれるのよ!あなたの子よ!」
俺「俺の子供じゃないでしょ」
元嫁「あなたの為に作った子どもなの、あなたがいないとだめなの、だからお願い帰ってきて」
こんなやり取りが延々続いた。
最後に「ごめん、俺にはどうしてあげることもできない、ごめん」と言って電話を切った。
電話の向こうから悲鳴が聞こえてた。切った後も電話が鳴り続けていたが、スマホの電源を切った
それから車の中で、どうしてこんなことに…、どうすりゃいいんだ…と漠然とした思考で動けないでいた。
家に帰った時には夜中の2時を回っていた。
布団に入っても寝付けなくて結局朝まで起きていた。
スマホには朝から元嫁の電話が何度もかかってきた、仕事に支障があるから一度電話に出ると「無視しないで、
一度きちんと会って話し合いたい」と言ってきた。錯乱状態にも近い雰囲気だったので「その件については
考えさせてくれ、とにかく今は仕事だから電話は控えてほしい」と伝え、とりあえず納得してもらった。
昼休みに元嫁父の勤務先に電話をして呼び出してもらった。元嫁父は俺だとわかると、事の顛末を理解しているようで
、すぐに娘が迷惑をかけて申し訳ないと謝ってきた。
元嫁父の予想外の反応に戸惑ったが、元嫁の電話口の様子がおかしかったので誰かそばにいたほうがいい事を伝えると、
すぐに妻に連絡して様子を見るように伝えると言った。
そして、離婚時に失礼事をしてしまったことを再び謝罪してくれた。娘がこんな行為に走ったのも全部自分たちが
悪かったからだと、落ち込んだ口調で話してた。
そして、「俺君、こんな事を言えた義理ではないのだが、もう一度娘とよりを戻すことはできないだろうか?」と
言ってきた。俺は、すでに再婚していて子どもいることを伝えると「あぁ~、そうか、そうなのか~」と言い落胆した
様子が伝わってきた。
そして嫁父は「子どもは元気なのかね?」と聞いてきた。障害児であるかどうか聞きたかったのだろう、俺は今嫁の
連れ子であることは伝えずに、「ええ、元気な普通の子どもですよ」と答えた。すると元嫁父は「それは良かった。
うん良かった。俺君には本当に申し訳ない事をした。娘のことは俺君家族に迷惑がかからないようにするから、
娘にはよく言い聞かせるから、娘の携帯から俺君の連絡先は消すようにするよ。本当に申し訳ない」と言ってくれた。
そして今後、何かあった時の為にとお互いの連絡先を伝え合って電話を終えた。
元嫁父の変貌ぶりに、あれから時間がたったんだな~と感じた。
その日、元嫁から帰宅時をねらって電話がかかってきた。電話の内容は狂気じみていた。
「いいことを思いついた。奥さんと別れて私と再婚しましょ!奥さんとの子どもはかわいいから離れたくないんでしょ!
子どもも一緒に連れてきて!あなたの子どもなら私は大事に育ててゆくことができる。産まれてくる子どもと平等に
愛を注いであげられる!ね、いい案でしょ?奥さんには父に頼んで生活に困らないくらいの慰謝料を渡してもらうから」
元嫁の発言を聞いて、気が遠くなりそうになった。なんとか元嫁を刺激しないようにと、言葉を選びながら
「ごめん、なにもかもが突然で頭が混乱している、今日も仕事でミスをいっぱいした。仕事も立て込んでて、
落ち着いて考える時間がほしい、君も出産間近で不安なんだろう、こんな状況じゃ俺はなんにもできないし、
なんにも考えられない。とにかく安定するまで、今は身近にいるお父さんとお母さんを頼ってほしい」と話した。
元嫁は「そうだね。昨日、突然子どもができたと言ったかと思えば、今日は離婚しろ!って難しいよね。
落ち着いて考えてほしい。私は産まれてくる子どもとずっと待ち続ける覚悟はできているから。
私は今でも俺君のこと愛してるよ、俺君は私のことどう思ってる?」
俺は「ごめん今は混乱して何にも答えられない」と言ってしまった。
元嫁は「わかった。でも俺君にはいつでも私という帰れる家族があるんだよ」そう言って電話をきった。
その後今嫁と話し合って、弁護士に相談することにした。知人に俺の地元の弁護士を紹介してもらい、
月末に弁護士と元嫁父と3人であって話し合って、元嫁の子どもと俺は一切かかわりがないことを互いに確証する書類を
作ってもらうことにした。出産後にDNA鑑定もしてもらう約束もしてもらった。
弁護士事務所で元嫁父に再会したとき、最初誰だかわからなかった。