World Scope

日々動いている世の中の出来事

修羅場

病院で知り合った入院患者のお婆さんは、出会う度に良くしてくれていた。後日、母から聞かされたその目的に恐怖で震えた・・・

投稿日:2023年11月25日 更新日:

それはまだ私が幼いころです。
記憶は曖昧なのですが、確か妹がまだ赤子だったので、私は小学生の低学年だったと思います。

当時妹はひどい小児喘息で、診察と常備薬を処方してもらうため、車で1時間ほどかかる遠方の病院に通っていました。
私は病気でもないのに、よくそれについていきました。
なぜなら幼いころはたとえ病院だろうと遠くに行くだけで楽しかったですし、それに道で外食をすることがあったのです。

一方手間がかかる私をつれていくのを母は嫌がり、家にいなさいと言っていました。
私はそれでも無理を言って病院についていきました。
病院では、私はいつも妹が診察をうける間 病院内をうろうろと歩いておりました。

いつものように広い病院を探検する気持ちで歩いていると、いきなり院内服を着た知らないお婆さんから話しかけられました。

「ぼく、飴いる?」

そのお婆さんは真っ白な白髪にまばらに残る黒髪が印象的で体格は小柄、それに酷く痩せていました。顔色も悪くて不健康そうに見えました。
思い詰めたように暗くて疲れきったような表情に見えます。なにより私を見る目が怖かったのを覚えています。

お婆さんは、自分はここに入院しているのだといいました。
前からよく病院内を歩く私をみて話しかけたかったのだそうです。
寂しいから友達になって欲しいといいました。
私はお婆さんを怖いと思ったので嫌だと思い、黙って首を横にふり、母の元に逃げました。

お婆さんがそろそろと私のあとをついてくるのがわかりました。

私は妹を抱く母を見つけると、泣きながら駆け寄り、お婆さんを指差しながら変なお婆さんがついてくるといいました。

お婆さんは、いつの間にか僕のハンカチを持っていて

「落としましたよ」

と言いました。

母は

「すいません」

と謝りハンカチを受け取ると、私には失礼なことをいうなと叱りつけました。

お婆さんは

「いいんですよ」

と母に近寄り、そこで驚いたように口を開けると涙を流しはじめました。

お婆さんは母をみていいました。

「娘にそっくり」

お婆さんには10年以上昔、母にそっくりな娘がいたそうで、その娘さんを病気で亡くされてたそうなのです。
母は、そんなお婆さんを可哀想な顔で見ておりました。

それからお婆さんは、母と妹が病院に行く曜日には入り口で待つようになりました。
そうして妹と僕にお菓子や玩具をくれるのです。
死んだ娘といっしょにいるようだと喜ぶお婆さんを母は断れないようでした。

いつの時間にいっても入口にいるお婆さんが気味悪くなり、私は病院へはついていかないようになりました。

そうして何ヵ月か経ったころでしょうか、母のほうから私に

「病院についてこない? 」

と誘うようになりました。

私は不思議に思いながらも、帰りに美味しいものをごちそうしてくれるかもと思い了承しました。
病院につき、妹の診察が済んで母と受付を待っているとき、今日はお婆さんはいないんだ、もう退院したのかもしれないなと思っていると背後から声がしました。

「見つけた」

振り返ると例のお婆さんが笑って立っていました。母の顔はひきつっています。
お婆さんは院内服ではなく、私服をきていました。

「○○(母)ちゃん、最近月曜日に見ないから寂しかったのよ。通院する曜日変えるなら教えてよ」

お婆さんは、私を見て笑いました。

「久しぶりね○○くん、今日はおばさんがご飯につれてあげるね」

断る母を強引に説き伏せて、お婆さんは私達を近くのファミレスにつれていきました。
食事の間お婆さんはずっと笑っていました。
お婆さんと母の会話が変な会話をしていたのを覚えています。

「ふたつあるんだからいいじゃないの」

「いい加減にしてください」

「いいじゃないの」

「警察を呼びますよ」

「じゃあこれを読んで」

お婆さんは母に封筒を渡しました。

その日の帰りの車は、いつもとは違う道を走ったのを覚えています。
それと、車の中で母が変な質問をしてきたことも。

「Y(妹)ちゃんを可愛いと思う?」

「……うん」

「あなたはお兄ちゃんなんだから、なにかあったらYちゃんを守らないといけないよ」

「うん」

「来週からYちゃんと一緒に病院にきてそばから離れたらいけないよ」

「うん」

当時は何故母がそんなことを言うのかわかりませんでした。
それから毎回病院でお婆さんと私達は会いましたが、ある日を境に急に見なくなりました。

それから十年以上経ち、母にそういえばあのお婆さんどうしてるんだろうね?
と尋ね、返ってきた答えに私は震えました。

「あの人は多分亡くなったよ。それに、お婆さんじゃなくて私と同じ年なの」

私は驚きました、当時の母は30才代ですが、お婆さんはどう見ても60才はいってるように見えたのです。

母から聞いた話はこうです。

退院してからもいつも病院で会うおばさんを不思議に思い母は、知り合いの看護師にお婆さんはそんなに悪い病気なのかと尋ねたそうです。

お婆さんは病気ではなく、自殺未遂で入院していたというのです。
娘が亡くなったショックで自殺未遂をしたお婆さんの外見はみるみる老けていき、亡くなった娘というのはまだ赤ちゃんだったそうです。
それなら母と似ているはずがありません。
そういえばお婆さんが母に向かって娘にそっくりだと言った時、妹が母に抱かれていたことを思いだしました。 お婆さんは妹に向けて言っていたのです。

最初は優しかったお婆さんは次第に母に妹を譲るよう懇願してきたらしいのです。
もちろん母は断りました。
妹をさらわれるとお婆さんが怖くなった母は、私を見張り役として病院に付き添わせてたそうです。

そして封筒の中の手紙を見せてくれました。
短い文でした。

近く娘のところに行きます

あなたのせいです

ずっと恨みます

 

「愛のコメント」

ホントの話だとしたら恐いですね。

-修羅場
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

夫が種なしだった。夫『じゃあ俺遊びたい放題じゃん!』夜の店通い、愛人を作り遊び放題!愛人「俺さんの子ども妊娠した」『ほら!俺は無能じゃない。ざまぁみろ』 → その後・・・

<PR>まだWIN5の的中がない方必見!   元の話なんですが、夫と私は結婚10年。 何度も頑張ったんですけど、子供は出来ず。 病院で私は見てもらいましたが、異常は無いとの事です …

【あ然】失恋し、ガンになった友人『なんで俺だけ…みんな不幸になればいい』→友人のシ後、周囲で不幸事が起きまくったので、俺「墓を開けよう」→結果・・・・・・・

七回忌をしたのは 俺と中学、高校と同級生だった奴 Aにしとく Aとは部活も一緒で、 卒業して進路が別々になってからも それなりの付き合いがあった そんなAは、 女性関係に恵まれないと言うかなんというか …

【絶句】弟が原因で家庭崩壊 → 10年後 → 祖父母「弟から結婚式の招待状が来てる。もう10年経てるし行ってあげたら?」私『それなら…』 → これが間違いでした…

<PR>WIN5的中への道標(みちしるべ)   弟が私のパ*ツでhshsしていたのがきっかけで家庭崩壊。 両親と私とみっつ下の弟の四人家族だった 共働きの家の長女だったので、家事 …

新婦妹「ごめんなさい…ごめんなさい…」周囲「どうした?何があった?」→ 大喧嘩、大混乱、驚愕の修羅場の幕開け・・・・・。

いとこの結婚式でのことです。 新郎が新婦の家に挨拶に行った際、新婦の妹に一目惚れ。 ひそかに新郎と新婦妹は付き合いはじめ、式の前日に妊娠発覚。 新郎はあまりにも 急なことなので とりあえず結婚式は新婦 …

【壮絶】高校生の時に家族が全員タヒんだ→俺(遺族年金もない、当然生命保険もない…役所に相談しよう)→俺「施設に入るか生活保護を…」役所『プッ働けばw』

さらっと昔話すると、僕の家族はみーんな16~17のころに死んじゃった。 16の時に親父で、17の時母・弟・妹ってな具合。他の親戚はとうの昔に死んでた。 役所いっても「プッ働けばw」みたいな事言われた …

ブログ村PVランキング

読者登録

World Scope ~日々動いている世の中の出来事 ~ - にほんブログ村

人気記事

不定期ですが友達限定記事をお送りします。

友だち追加

error: Content is protected !!