ベビーカーに小さな子供を乗せての移動はとにかく
骨折れるもの。特に人が密集するような駅や商業施設
ではなかなかエレベーターに乗れません。
そんな時、行列の前にスッと入り込んでくる人物が
現れたら誰しもムッとしてしまうことでしょう。
ある一人の女性はそんな状況で、予想外の体験をしました。
彼女がある週末、子供をベビーカーに乗せ新宿駅の
エレベーター前で列についていた時のこと。突然、
一人の男性がイヤホンをしながら軽快にリズムを取り、
列に並んでいる人々に笑顔で目配せをしつつ素通りし、
エレベーターの扉の前にスッと立ったそう。
なんと堂々たる横入りをして見せた彼に、その褐色の
肌から「彼は外向人だから仕方ない、並ぶ文化がない
国から来た方だ」と思ったそうです。しかし、
エレベーターが到着した時のこと。彼の行動に誰もが
目を丸くしたのです。
彼は開いた扉を手で押さえながら、「Come Come」と
列にいたベビーカー1台に乗るように手招きしたのです。
さらには、彼は残るベビーカー2台に目をやると
エレベーター内に先に乗り込んだ中年の男性に対し
手招きして「あなた出る」と伝えたそうです。
中年の男性は少し驚いた顔をしましたが、ベビーカーを
見て、「ああ、どうぞ」と譲ってくれたそうです。
そして最後には長いこと列で待っていた彼女に対し、
いつもは2台乗るのがやっとというエレベーターに、
「大丈夫大丈夫、もっと詰めて」とばかりに3台乗せて
くれたそう。
彼は3台のベビーカーを乗せ終えた後、「気にしないで
行って」とジェスチャーをし、閉まり始めたエレベーター
の扉の向こうで、「Go Go」と言って笑顔で見送って
くれたそうです。
この男性の行動にエレベーター内にいた人々は、状況を
理解しきれず言葉が出なかったそう。そして「え、
こんなことってあるんですかね」「すごい」「今の人、
なんだろう」と感激し、堰（せき）を切ったように、
感想を言い合いあったとのこと。
そこにいた誰もが、扉が開いたエレベーターに彼は
順番を守らず一番に飛び乗ると思ったのでしょう。
男性の思わぬ行動に感激したと共に、この女性は男性に
対し「列に並べない人」と自身の物差しで見てしまった
浅はかさを反省したそうです。
そして彼が順番を守ることよりも、この状況下で優先
して助けるべき人はいないかと目を向け取った行動に、
私たち日本人は順番を守ることに安心して、思考を停止
していなかっただろうかと考えさせられたとのこと。
男性の行動は少しばかり強引だったかもしれません。
私ももし現場にいたら男性の行動にイライラしたと
思います。でも、ただ順番を守るのではなく、優先
するべきことは何か考える姿勢、見習いたいものです。
愛のコメント：さわやかないいお話ですね。
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