私は20代後半、趣味のお稽古で40前の独身女性と仲良くなった。
静かな農村?に住んでいて、公務員で凄く真面目でとにかく良い人。
私と違ってゲスいところが無く、いつも笑顔で嘘が無い。
雨にも負けずみたいだなーこんな人も居るんだなーと思ってた。
そしてその人が主催するあるイベントを手伝う事になった。
そのお稽古事に関係ある、地域のご老人の為の小さなイベント。
そこからその人との家族ぐるみのお付き合いが始まってしまった。
イベントは、地域の人達で協力してやるのかと思ったら、その人(以下Aさん)のご家族だけで運営していた。
ご両親は70代後半で、やっぱりとても良い人達だったけど、なんとなく違和感があった。
普通はAさんが同世代の人に声をかけて設営したりすると思うんだけど、誰にも声をかけずに家族内だけで企画したんだって。
勿論悪い事じゃないけど、40歳76歳77歳でイベントって大変じゃないのかな、私財を投じて凄いなって思ったけど、家族内だけで全部やりたかったんだって。
「外の人は入れると大変だから。私ちゃんは特別だよ」
って言われた。
で、まあ楽しく終わったんだけど、その後お茶会にも出席してって言われて、参加したらAさんご家族と地域のご老人だけ。
ほっとかれるなら良かったんだけど凄い話しかけてくる。
むしろ囲まれてる。質問攻め。圧迫感が凄い…。
ようやく終わったと思ったら、自宅が近くだから寄って行ってとAさんに言われた。
どの道、駅から凄く遠い会場で、Aさんに車を出して貰っていたから断るすべは無かった。
ご自宅は大きくは無いけどとても立派で奇麗な日本住宅で家の中もピカピカ。
ご両親&可愛い犬が大歓迎してくれて、これ多分私の為にやったんだろうな…という飾り付け。
実際、私が来る事を予想して前夜に大掃除したそうだ。
犬は新しいお洋服を着ていて、素敵なカップにレモンティー、写真などを見せられながら素敵なひととき。
15分位の寄り道かと思ったんだけど、そうはいかない雰囲気。
妻を愛するダンディーな夫、真面目で気が利く自慢の娘。
小物作りが得意な優しいお母さん。人なつこい犬。
ようやく辞したけど、お土産にとお弁当やらお菓子やら、お母さんの手作り品などを可愛い紙バックに入れて持たされた。
はっきりいって疲れた。私が人でなしなのかもしれないが、こういうのやだ。
そこまで仲良く無いし、なんなんだろうと思う。
しかも、又何時でも遊びにきて、って凄い誘ってくる。
お稽古の発表会にはご両親も見に来ていて、お土産を下さって、このあと家に来ない?とにこやかに誘って下さる。
でも私は他のお稽古友達と打ち上げに行きたい。
75以上の方が誘っていたら、周りが遠慮して
「私達は良いから…」
って、なんか行かざるを得ない空気になってる。
その場でちゃんと断れたけど、結局後日伺う事になってしまった。
また凄い歓待されて、ついにはうちの両親へのお土産(手作り)まで。
もう怖い。凄い怖い。
と同時に、Aさんは結婚したくてお見合いなんかもしているんだけど、中々決まらないんだっていつも悩んでた、その理由が分かった。
もしこれをお相手の方にやったとしたら絶対に逃げると思うし、そうでなくてもこんな幸せで上手く回っているご家庭に居たら本気で家を出ようなんて思わなくなるのかもな、このままAさんが年老いた両親を介護して本人も60とかになって行く姿が見える。
Aさんご自身は、まさにある意味理想のお嫁さんタイプなのに、ずっと結婚しなかったのが何となく分かった気がした。
で、先月又Aさんの家に呼ばれて(私が仕事でAさん宅に近くに行く事がある。それを
地元ネットワークで偶然知られてしまって、以来「是非お茶していって」と待ち構えている)その時に怖いことを言われた。
私が
「いつも、まるでお見合いや結納みたいにきちんとなさっているので私は緊張してしまいます」
と若干の抵抗も兼ねて努めて明るく言ったら、Aさん母は
「そうねえ、こちらはそういう思いもあるのかも…
ほら、Aちゃんはもう結婚しないかもしれないし子供は無理だろうから、(Aさんニコニコ頷いている)良い友達が、一生もの本物のお友達がずっと居てくれたら良いなって思っていたのよ。
それで、私さんのお話をAちゃんからずっと聞いていて、ああ、素晴らしい人だなって思って。
だから、お友達としての結納?婚約?みたいな感じかもしれないわ~親としては~。友達婚?ていうの?」
とニコニコ楽しそうに言う。
Aさん父も
「私さんがうちに来るとね、ご近所さんがとても羨ましがるんですよ。中々若い人はここらには居ないから…」
ニコニコ。
怖い。
冗談ぽい良い方ではあったけど怖い。
もう絶対行くまいと思って、帰り際にAさんと駅で別れる時に
「友達で結婚感覚て、ちょっとねえ。」
って言ったらAさんから衝撃の事実が
「今まで言ってなかったけど、兄が居るの。一応一緒に住んでるんだけど、駄目な人でね…
今は占い師の資格を取る勉強してるって言うんだけど。
もし私ちゃんがアレなら、うちのお兄ちゃんとどう?なーんて」
ひざに震えが来た。
「あ、もちろん冗談だよ。あの人の面倒は私が見るしかないって分かってるから。でも、そんな時に私ちゃんが居てくれると心強いな^^」
「両親は、私ちゃんが他のお家に取られたら嫌だなって、張り切りすぎちゃってるんだと思うの。ごめんねえ^^」
なんかもう何言ってるのか良く分からないから逃げるようにして帰った。
Aさんご一家には良くしてもらう一方で具体的な迷惑は無かったけど余りにストレスで、仕事はAさん地元に行くのをやめさせて貰って、お稽古でも絶対にかち合わないようにした。メールの返信もしてない。
こんな事、今までなかったから凄く衝撃だった。
今でもちょっと怖いんだけど、こういうのも距離無しさんなんだろうか。
良くしてもらったので悪く言うのが心苦しんだけど、なんかこう、あの素敵なお家での素敵な接待が魔女のお菓子のお家みたいで、こんな怖い思いした事無いってくらいストレスだった。
しばらく頻尿になった。
「愛のコメント」
私でもそういう家には行きたくないですね。